辛いうつを改善できる治療

うつになると、下記の気持ちになってしまいます。

  • 落ち込みが大きくなり、体がとても重い感じがして、指一本動かせない。
  • 食欲もない、食べても味がわからない、生きるために食べているだけ。
  • 自分の性格を変えようとしても、無意識にダメな方向に行ってしまう。

とても辛いですよね。

うつを少しでも早く治したいと思う気持ちよくわかります。

この記事では下記をお伝えしていきます。

  • 治療法の選び方
  • どうやったら、辛い状態から抜け出せるのか?
  • 抜け出すには、どのくらいの期間がかかるのか?
  • 抜け出すには、どんな治療法があるのか?

うつの原因

うつの原因については、脳の神経伝達物質の問題、心理的な問題、脳の活動の問題など、様々な説があります。

現在では、神経伝達物質・心理・脳の活動が複合的に関与していると考えられています。

また、睡眠不足や過度なストレスもうつの原因のひとつです。

うつの患者数

厚生労働省が3年ごとにしている平成8年(1996年)から平成26年(2014年)の患者調査によると、うつ病や躁うつ病を含む気分障害になる方が平成8年から右肩上がりで増えています。

患者調査
  • 平成23年の調査では宮城県の一部と福島県を除いています。
  • この統計は、医療機関に受診している(入院・外来を含む)患者数を推計したものです。

うつ状態になると感じること

うつ状態になると、下記のような状態がみられます。
ただし、個人差があるので、うつになったすべての方が感じるとは限りません。

  • 「頑張れ」といわれるのは辛い。「甘え」といわれるけど本当に辛い。
  • 張り過ぎて何を頑張ればいいかわからなくなる。
  • 自分の性格の欠点を治したくても無意識に悪い方向へ流れて止められない。
  • 生きていちゃ駄目だと思ってしまう。
  • リストカットをすると落ち着く気持ちがわかるようになる。
  • 味覚が無くなる。
  • 部屋の電気を付けたくなくなる。
  • 音に敏感になる、音がとても頭に響く。
  • 常に体の動きが重く感じる。
  • 自分の意思で体が動かない。
  • 体を動かそうとすると、疲労感を強く感じる。
  • 勉強や仕事ができなくなる。
  • 急につり橋の上にいる感覚になり、怖くなって一歩も歩けなくなる。
  • 急に自分で感情を制御できなくなって、突然笑い出したり泣いたりする。
  • 鏡をみると、顔面がピクピク動いている。
  • 急に感情が沸騰して自己嫌悪の塊がグルグル暴れまわる。

うつが治るまでの期間

数週間から数十年と個人差があります。
一度、良くなってから、再発することが多いのもうつの特徴です。

治療法の選び方

うつに限らず、大量に出血しているなど緊急性を要するもの、すぐに治療しないと命にかかわるものは、病院(西洋医学、現代医療)を選びます。

慢性的な状態や長期間の治療が必要な状態になったら、病院(西洋医学、現代医療)に加えて、さまざまな治療を選ぶことができます。

治療法は症状を直接的に治す方法と、遠回りの方法の2種類に分けられます

治療法は症状を直接的に治す方法と、遠回りの方法の2種類に分けられます。

症状を直接的に治す方法は薬や外科手術などの現代医療です。即効性があり保険が使えるので1回あたりの負担金額が安く済みますが、再発することが多い特徴があります。

たとえば、「鎮痛剤を飲んで頭痛をやわらげても、また痛くなり鎮痛剤を飲む」というのは、痛みを感じないようにしているだけです。そのうちに鎮痛剤が効かなくなることもあります。

遠回りの方法は、根本的な原因にアプローチするので、副作用が少なく体にもやさしい特徴があります。

この記事では、漢方、鍼灸、バイオフィードバック、ブレイン・シンメトリー、心理療法、栄養やビタミン、休養が遠回りの方法です。

また、遠回りの方法は薬による治療と並行して受けることができるものがほとんどです。

(参考|医学博士 小池弘人監修|カラダにいいこと大全)

注意点

あれこれと頻繁に治療法や病院を変えると治りません。
また、いろいろな治療法を一度に受けると混乱して治りません。

医療関係者に「後医は名医(こういはめいい)」という有名な言葉があります。
はじめに出会う医師のことを前医(ぜんい)、次に会う医師のことを後医(こうい)といいます。
前医より後医の方が情報を多く得られ、病気が治るタイミングに近く、後医は前医に対して意見を言えるから「後医は名医」と患者は思ってしまいます。
「後医は名医」という思い込みが患者にあると、病院を変えると良くなる、もっと良い病院に行きたい、ドクターショッピングをする、いつまでたっても治らないという結果になります。

治療法

治療法がひとつしかないと考えると縮退(しゅくたい)という現象を起こし、選択肢がなくなり心理的に苦しんでしまいます。
数多くの治療法があると心に余裕を持ちましょう。

縮退とは?
縮退とは一部の人やモノの間だけをお金やモノが循環しつつも、だんだんと狭い場所に集中して速く回っていくさま。
(引用|IMCI統合医療カンファレンス協会編|ジャングルカンファレンスハンドブック)

心療内科や精神科で処方される安定剤や抗うつ薬などによる治療があります。

代表的な抗うつ薬
区分商品名
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)ルボックス、デプロメール、パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロ
SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)トレドミン、サインバルタ、イフェクサー
NaSSA(ノルアドレナリン作動性、特異的セロトニン作動性抗うつ薬)レメロン、リフレックス
三環系抗うつ薬(第一世代)トリプタノール、トフラニール、アナフラニール、テグレトール
三環系抗うつ薬(第二世代)アモキサン、アンプリット、プロチアデン
四環系抗うつ薬ルジオミール、テシプール、テトラミド

同じSSRIでも、パキシルはパロキセチン塩酸塩、ジェイゾロフトは塩酸セルトラリンと成分が異なります。

詳しくは、おくすり110番 http://www.jah.ne.jp/~kako/index.html などの専門サイトをご覧ください。

薬の名前は「区分」「一般名」「商品名」「成分名」「化合物名」などがあります。
薬局でもらう薬や店頭で売っている薬の名前は「商品名」です。

漢方

うつを体内で気、血、痰、湿、熱、食が滞り「うっけつ」している状態と漢方では考えます。
うつを治療するポイントは「気」と「血」です。

「気」と「血」の流れが悪くなったり不足したりすると、心のトラブルが起こりやすくなるといわれています。

漢方は専門家に処方してもらうことがポイント

うつ状態の処方は非常に複雑になるので、漢方の専門家に処方してもらうのがベストです。

うつに効果がある漢方をネット通販などで購入することは可能ですが、失敗する可能性が大きいのでおすすめできません。

流れが悪くなっているポイントが複雑になっているからです。

同じ名前の漢方でも、メーカーによって異なることがある

同じ名前の漢方でも、メーカー(製薬会社)により生薬成分の配合比、粉や粒の違いなどがあります。

効果は同じとされていますが、体質や味の好みなど合う、合わないがあるようです。

うつの治療でよく処方される漢方

妊婦・妊娠している可能性がある場合、使用できない漢方があるので、専門家にしっかりと伝えるようにしましょう。

漢方を処方するときは、体質により虚証、中証、実証に分けます。

虚証

体力や抵抗力が弱い状態です。やせ形~中形の体格で顔色が悪く、疲れやすい、消化器系が弱いなどの特徴があります。体力のある方でも病後や過労などで一時的に虚証となることがあります。

中証

ある特徴は虚証ですが、別の特徴は実証となり、虚証、実証のどちらかに偏っていない場合が中証です。

実証

体格がよく、抵抗力がある状態です。消化器系が丈夫などの特徴があります。

虚証~中証で食欲不振、やる気低下、うつなど
漢方症状
補中益気湯(ほちゅえきとう)胃腸が弱く無気力や食欲不振のとき
桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)胃腸が弱く不安や不眠などのとき
加味帰脾湯(かみきひとう)血色が悪く、過度の精神疲労による不安感、うつのとき
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)胃腸が弱く神経質で、首から上が汗をかきやすく、口の渇き、動悸、不眠などがあるとき
虚証~中証で不安、うつ、不眠など
漢方症状
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)神経質で生真面目で不安、不眠があり、のどの異物感や胸の圧迫感、動悸、声が出にくいなどのとき
香蘇散(こうそさん)内気な性格でストレスが発散できずにうつな気分になっているとき、耳がふさがったようなとき
柴朴湯(さいぼくとう)半夏厚朴湯と小柴胡湯が合わさった漢方で、半夏厚朴湯の症状を伴い、口の苦みや食欲不振、胸から脇にかけて張ったような感じや痛みがあるとき
虚証~中証でのぼせ、イライラ、不眠、頭痛、めまいなど
漢方症状
加味逍遥散(かみしょうようさん)せっかちで気分の変動が多く、イライラや頭痛、不眠症、肩こり、便秘気味などのとき
抑肝散(よくかんさん)過敏体質で怒りっぽく、せっかちで神経の高ぶりによる不眠、イライラ、頭痛、被害妄想などのとき
抑肝散加陳皮半夏 (よくかんさんかちんぴはんげ)抑肝散と同様の体質・症状で胃腸が弱い方
釣藤散(ちょうとうさん)血圧が高く、イライラや頭痛、めまい、耳鳴り、不眠などがあるとき
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)冷え・のぼせがあり、顔が赤く、めまいや身体動揺感があるとき
実証でイライラ、不眠、頭痛、めまいなど
漢方症状
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)熱症状を鎮める漢方です。興奮を伴ったイライラ、不眠、不安焦燥感などのとき
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)血のつまりをほぐす漢方で、血のつまりから来る諸症状があるとき
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)血のつまりから来る諸症状と便秘があるとき
実証でイライラ、みぞおちの張り、不眠など
漢方症状
柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)みぞおちの辺りの張りを伴う精神不安、不眠、のぼせ、イライラ、動悸などのとき

鍼灸

鍼灸も漢方と同じように、心と体は一体という考え方にもとづき、鍼灸は全身の調子を良くしてうつを治療していきます。

自律神経の乱れや体の「冷え」、慢性的な肩こり・腰痛、骨格の歪み、筋肉の緊張などをうつの原因と鍼灸では考えています。

磁気刺激治療(TMS)

磁気刺激治療は脳の前側に磁気刺激を与える方法です。

うつの脳は血流や代謝が低下している可能性があるので、磁気の刺激で脳の活動を回復させるものです。

電気けいれん療法(ECT)

頭の左右のコメカミに電極をあてて脳に電気を流す方法が電気けいれん療法です。

電気けいれん療法は「電気ショック療法」「電撃療法」と呼ぶこともあります。

全身麻酔をした状態で、けいれんを起こさないように筋肉の緊張を緩める薬(筋弛緩薬)を投与しながら行います。

症状により異なりますが、週2~3回、合計6~15回ほど行います。

バイオフィードバック

脳波や皮膚温、心拍などの生体信号をセンサーで測定し、測定した情報を音や光、映像で知らせ自分でコントロールできるようにする方法です。

症状やフィードバックする内容により異なりますが、週1~2回を半年~1年ほど行います。

皮膚温をフィードバックする例

指先に温度センサーを貼り付けます。

リラックスすると皮膚温は上昇し、緊張すると皮膚温は低下するので、皮膚温が上昇しているか低下しているかを音や光、映像でわかるようにします。

最初は、皮膚温が上昇するトレーニングを3分間行います。

意識的にリラックスして、皮膚温が上昇するようにします。

次に、皮膚温が低下するトレーニングを3分間行います。

皮膚温が上がるように、意識的に努力します。

皮膚温を上昇させるトレーニングと皮膚温を低下させるトレーニングを交互に数回繰り返します。

ブレイン・シンメトリー

ブレイン・シンメトリーは脳波の振幅(大きさ)変化を音にしてフィードバックし、脳の状態を柔軟に変化できるようにする方法です。

話を聞くときは聞く部位が働き、運動するときは運動の部位が働くように、行動の内容によって脳の活動する部位が変わりますが、 脳の部位を切り替えられない状態になると、いつも同じところを使うために脳がヘトヘトに疲れてしまい、現実に対応できずにうつや不安を起こしてしまうからです。

また、脳波の大きさが変化する量と左右差もブレイン・シンメトリーは整えます。

うつでなければ、脳波の大きさは安定して上下に動きますが、うつや不安があると脳波の大きさが変化する量がとても大きくなり、脳波の大きさの左右差も大きくなるのです。

症状により異なりますが、月1~8回を1か月~1年ほど行います。

心理療法

心理療法には多くの方法があります。

代表的な心理療法

  • 精神分析療法
  • 力動的心理療法
  • ユング派心理療法
  • 箱庭療法
  • クライエント中心療法
  • 認知行動療法
  • 遊戯療法
  • NLP(エヌエルピー)
  • 家族療法
  • マインドフルネス
  • ACT(アクト)

いずれの心理療法も1回で終わることはなく、週1回のペースで3か月から数年にわたって行います。

栄養やビタミン

栄養やビタミンが不足してしまい、うつになることがあります。

ゆったりとした環境で、温かいバランスの良い食事をするだけで、うつから抜け出せたという事例が数多くあります。

ビタミンB群が不足するとうつ症状が出るので、気持ちが沈みがちならビタミンB群が不足している可能性があります。

ちょっとしたストレスを感じるとビタミンCを大量に消費されるので、ビタミンCが不足していることもあります。

休養

うつを改善するのに、休養も必要という考え方もあります。

頭を空っぽにして行動に意味を持たせないようにするなど、しっかりと休むことが大切です。

まとめ

いかがでしたか?

うつの治療には、さまざまな方法があります。

途中で治療を投げ出したり、中断してしまうとうつが悪化することがあるので、治るまで続けていきましょう。

うつになると、ひとりでは治療を続けられない、治療を受ける気力がなくなることがあります。
ご家族の協力も得ながら、うつを克服していきましょう。

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